地理学評論
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日南海岸青島の「波状岩」の形成機構
高橋 健一
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1975 年 48 巻 1 号 p. 43-62

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抄録

日南海岸青島の波蝕棚表面にみられる「波状岩」あるいは「鬼の洗濯板」とよぼれる波状起伏は,潮間帯の上半部にあって,その峰部は砂岩層,谷部は主に泥岩層からなる.調査地域における両岩石の最も主要な力学的侵蝕過程は,砂岩では,日射に関連した風化による表層部の強度低下を介した波浪や風による摩耗侵蝕であり,泥岩では,表層部の乾湿破砕で分離した小岩片の波浪による除去である.これらの過程の侵蝕基準面は,それぞれの風化過程の基準面に対応して,砂岩では平均高潮位付近にあり,泥岩では平均海面の少し下方にある.また,潮間帯における侵蝕速度は,泥岩の方が砂岩よりもはるかに大きい.このため,泥岩は砂岩よりも急速にかつ低い水準まで侵蝕され,潮間帯の上半部に波状起伏が形成された.なお,波状起伏の峰は,重力侵蝕によって低下するため,その突出程度は,砂岩層に発達する節理の間隔によって制約されている.

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