抄録
足尾山地北部の山地斜面において,凍結・融解による斜面物質の地表下移動を調べた.凍結・融解による斜面物質の移動とその他の原因(温度・水分変化など)によるものとは,変位の方向や変位量などの点でかなり異なる.融解時における斜面物質の移動は,凍結時の氷晶分離析出の結果生成される土塊の変位によるもので,この土塊は地表下の融解しつつある層のなかを中間移動すると考えた.凍結・融解によって生じる斜面物質の変位量の垂直分布パターンは四つのタイプに分類される.そのうち,斜面下方への変位を示す三つのタイプのパターンの差は,融解時における各深さの中間移動の程度の相違を示すと考えた.また,凍結・融解による斜面物質の斜面下方への変位量は,傾向として,最大有効角(32°~37°)で極大値を示すことが明らかになった.