地理学評論
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流域モデルを利用した河川水の塩素イオン濃度のシミュレーション
大庭 孝夫
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1977 年 50 巻 12 号 p. 675-688

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抄録
河川水の溶存物質濃度は降水による希釈効果・蒸発散による濃縮効果・流域内での貯留水の移動による混合効果の影響を受ける.米国北東部ニューハンプシャー (New Hampshire) 州のハバード・ブルック (Hubbard Brook) 実験流域で,流域モデルを改変してこれら水循環が水質に与える影響を推定した.それによると,降水の濃度を1.0単位とした場合,河川水の最大と最少濃度は1967年の場合, 3.90と1.23単位になるように濃縮されると推定された.さらに条件をより現実的にするため,部分混合を仮定し,ラングミューア(Langmuir)の式に基づく吸着・溶脱機構を持つ水質モデルを作成した.本流域で塩素イオンの大部分はフォールアウトとして供給されるので,測定された降水の塩素イオン濃度を入力とし,河川水の塩素イオン濃度を水質モデルでシミュレートした.その結果,河川流量だけを変数とした従来の希釈一濃縮モデルと比較してよい推定が得られた.
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