地理学評論
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韓半島南東部海岸の地形発達
呉 建煥
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1977 年 50 巻 12 号 p. 689-699

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抄録
韓半島の南東部海岸に分布する地形面は,高度・連続性などから,高位段丘面(ガムポGampo面;高度60~80m), 中位段丘面(シェッチョンリ Seakcheonri面;高度30~50m),低位段丘面(サンハリ Sanhari面;高度10~20m), 低地,海底平坦面に分けられる.これらの地形,堆積物の特徴などから・調査地域の地形発達は次のように考えられる.高位段丘面は,白亜系および第三系よりなる小起伏の丘陵が沈水して形成された,この地:域における最も古い海成段丘面で,段丘面には赤色土が生成しており・構成礫はくさっている.中位段丘面は,その広さ,連続性,高位段丘礫層に不整合にのる段丘堆積物の特徴から・高位段兵面形成後の海退期をはさむ海進期に形成された.高位段丘面上の赤色土はこの時期に生成されたと考えられる・中位段丘面の形成後にブルグッサ(Bulgooksa)断層の活動によってウルサン(Ulsan)湾から北部はその南部より10m余,示差的に隆起した.低位段丘面は,中位段丘面形成後の海退期に海水準の一時的停滞によって形成された海蝕面である.ヴュルム氷期の最盛期には海水準が一70m以下まで低下し・現在の沈水三角州などの海底平坦面が形成された.後氷期には現海水準より1~3mの高さに浜堤や低い段丘面が形成された.
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