抄録
ある分類基準を採用し,その基準項ごとに気候要素の平均値分布を求め,その基準項それぞれの出現確率というかたちで気候像を把握するという総観気候学的研究の際に,当該地域内の気候要素の平均値の状態が基準項によって異なることが前提となろう.本研究では,関東平野の冬期気温を対象にあらかじめ4分類基準をとりあげ,推測統計学的方法を用いて,母平均に有意差がある地点の数および分布から上記の前提を検討し,総観気候学的により望ましい分類基準を判定した.4分類基準は,(a)極東における地上気圧配置型(YoshinoandKai, 1974), (b)東アジアにおける700mb等高度線型(Hohgetsu, 1975), (c)8方位別と(d)16方位別の館野における700mb高度風向である.その結果,最高・最低気温および較差のいずれの場合も,(b)より(a)が,(d)より(c)が,また全体としては(a)がより望ましい分類基準であることが判明した.