小起伏の花崗岩山地における斜面形と土層の構造に関する調査結果をもとに,風化帯の発達と豪雨型山崩れの発生について理論的考察を行なった.
調査結果によると,風化および侵食のプロセスの違いを反映して,斜面の上部と中部から下部にかけてとでは土層の構造が異なっていることが判明した.後者では軟弱な土層の厚さが風化などによって臨界の厚さに達してはじめて豪雨により崩壊する.そのことを数学的にモデル化し,斜面の侵食速度を表わす式を導いた.その式によれば,侵食速度が極大または極小となる斜面傾斜の存在が示唆される.