地理学評論
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極東における冬季気温変動の構造とその変化
境田 清隆
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1980 年 53 巻 3 号 p. 143-156

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抄録

極東における1901~1975年の1月気温のデータに因子分析法を適用し,年々変動の構造とその変化を明らかにしようとした.計算の結果,西南日本とオホーツク海沿岸地域の気温偏差にみられるシーソー運動に関係する第1因子と,バイカル湖から北海道にかけての地域の寒暖に関係する第2因子とが抽出された.また,おのおのの因子スコアと地上および上層の気象データとの関係を検討することによって,因子の意味する循環型が明らかになった.次に75年間を六つの期間に分けて因子分析を行なうことによって,変動の長期傾向を考察した.その結果,変動構造自体がゆるやかに南北変位しており,北半球高緯度地方の高温期にあたる1921~1950年に最も北上していたことがわかった.また,二つの因子には75年間を通してそれぞれ固有の周期性が認められ,極東における冬季気温変動は,これらの周期的な変動と変動構造自体の南北変位から成り立っていると考えられる.

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