地理学評論
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浜松地域における楽器工業の集積
大塚 昌利
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1980 年 53 巻 3 号 p. 157-170

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抄録
多種の工業が立地する工業地域には,その形成過程において各種の工業が関与しあうなかで成立した地域が認められる.またこのような工業地域においては,既存の工業が先行産業の役割を演じ,新しい工業を生むことが指摘される.これらの点を明らかにすることは,工業地域の形成を論じるうえでの主要な一視点であると考える.本研究は以上のような観点にたって,浜松地域における楽器工業の成立と発展を明らかにするものである.浜松における楽器工業は1880年代に定着した.それには藩政期以来の木材集散地と木工技術者の存在,地元商業資本家グループの援助を無視できない.また第2次大戦後の著しい発達には,木材・繊維機械工業などの先行産業が重要な要因となった.他方,楽器工業は合板工業を派生させ,その資本・設備はのちにオートバイ工業を生むに至った.
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© 公益社団法人 日本地理学会
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