リルの発生・発達過程を解明するために,実際の裸地斜面に試験地を設け,種々の観測と試験を行なった.その結果,ここの斜面では,リル侵蝕の発生には10分間当たり1mm以上の降水量が必要であり,斜面下流端での流出土砂量は表面流出量の自乗に比例することがわかった.また斜面の侵蝕されやすさの目やすである受蝕係数は時間の経過とともに指数関数的に減少することが示された.
さらに,実斜面と模型斜面の対応は流路面積数とホートン数を通して可能であることがわかり,また模型斜面で有効であった確率過程に基礎を置いた理論式を用いてリル数を計算してみたところ,その値は実測値と比較的良い一致を示し,理論式の有効性がこの斜面でも認められた.