地理学評論
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小集落に夜間発生するヒートアイランドの実態と成因について
田宮 兵衛大山 秀樹
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1981 年 54 巻 1 号 p. 1-21

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抄録

小集落において夜間発生するヒートアイランドについて考察する.筑波研究学園都市内の古くからある集落1ヵ所と新たに建設された住宅団地2ヵ所を対象に40回の移動観測を行ない,基本的データとした.まず,それらの集落のヒートアイランドが気温,風向・風速等の条件とどのように係わっているかを述べる.次いで,接地逆転の発達の度合がヒートアイランドの発生にさらに密接な関係のあることを述べ,これとの関連において,ヒートアイランド形成のメカニズムについて検討する.
すなわち,集落の部分では接地逆転層下部が破壊されることによりヒートアイランドが形成されているという前提を置き,逆転層の破壊に至る二つの可能性について比較検討する.一つは下表面からの加熱による破壊であり,もう一つは建物という地表面粗度が存在するため,下層が撹拌されることによる破壊である.それぞれの過程に要するエネルギーおよびその供給について,ある程度定量的に見積った結果,小集落のヒートアイランドは撹拌により説明できることを示した.

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