地理学評論
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全国主要都市間時間距離の地図化の試み
吉本 剛典
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1981 年 54 巻 11 号 p. 605-620

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抄録

多次元尺度構成法 (MDS) の一手法であるToblerの方法は,点間距離の入力データがメトリックの条件を満足し,点の配置を再現する空間をユークリッド平面に限定するとき,より簡便で操作的な手法である.本稿では,昭和36年と昭和55年の2時点について,全国主要46都市間の国鉄路線利用による時間距離にこの手法を適用し,得られた時空間マップの解釈と経年的比較を行なうとともに,手法の有効性に検討を加えた.
その結果,この19年間にわが国の交通システムは大きく発展し,なかでも新幹線による時間短縮の効果が絶大であることが判明した.また,時間距離の入力データと,ユークリッド平面に再現された時間距離との適合度の評価によると, Toblerの方法は十分有効であった.これによって,交通システム研究において,時空間マップによる視覚的考察の可能性が示されるとともに,錯綜した構造をもつデータを少数次元の空間に再現するといった手法の有効性が明らかとなった.

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