地理学評論
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子どもの心像環境における「身近な地域」の構造
岩本 広美
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1981 年 54 巻 3 号 p. 127-141

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抄録

本研究は,子どもの心像環境-知覚および認知に基づいて人間の意識の中に再構成された環境世界-における「身近な地域」の空間構造を,東京都文京区の小学校3年生の場合について明らかにしようとするものである.従来の記憶地名を指標とする方法と手描き地図から読み取る方法を踏まえ,本研究では子どもの行動実態を通して検出する方法を用いて,相互に比較した.子どもの行動は,関連のある五つの要素,すなわち, 1)遊び行動, 2)コミュニケーション行動, 3)子ども道の利用, 4)通称地名の利用, 5)探検行動,を取り上げた.その結果,子どもの共通的心像(イメージ)としての「身近な地域」は,学区域を一応の基準とするにしても,その範囲をはるかに越えた広い地域にまで拡大していることが明らかとなった.この拡大は,地形的障害に阻まれるとともに,動線によって促されることも確認された.

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