地理学評論
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韓国忠清南道公州付近の中心地システムと定期市
森川 洋成 俊〓
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1982 年 55 巻 11 号 p. 757-778

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抄録
中心地システムのなかで,定期市がなお重要な役割をもつ地域は非常に広く分布するが,最近の定期市独自の研究に比べると,かかる中心地システムを扱った研究は比較的少ない.本論は,定期市の存立条件や「定期市を伴う中心地システム」の特徴を明らかにしようと試みたもので,分析結果は次のように要約される. (1) 本地域の定期市は,公州付近において廃止がみられ,高次中心地から離れた農村地域で稠密に分布し,中心地システムの近代化には地域差がみられる. (2) 定期市には階層性が認められるが,定期市が重要な役割を果たしているのは低次中心地においてである. (3) 中心地のもつ財やサービスの関係圏をみると,高級品の買物圏はあまり伸長せず,歯の治療圏の方が広いのが注目される.農民は,農畜産物を定期市で販売して生活必需品を購入するため,定期市との紐帯がとくに緊密である. (4) 将来,農業就業者の減少や農畜産物の出荷体制の整備のもとで,定期市や低次中心地の衰退が予想される.
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