抄録
日本列島の気流系をクラスター分析により分類して,広域気流型を設定した.各広域気流型には,以下の特色がみられた. a1型:海風が発達し,初夏に卓越する. a2型:西南西の強風が吹走し,通年にわたり出現する. a3型:南西の一般風のもとに海風が発達し,盛夏に卓越する. a4型:南西の強風が吹走し,春から盛夏にかけて出現する. b1型:日本列島の南岸を北東風が吹走し,春と秋に出現が多い. b2型:西南日本を北東風が吹走し,秋に出現が多い. b3型:近畿地方以北で東風が吹走し,春と秋に出現が多い. c1型:西風が吹走し,特に西南日本では風速が大きく,初冬に出現が多い. c2型:東北地方以南で西風が吹走し,特に西南日本では風速が大きく,通年にわたり出現する. c3型:北西風が吹走し,特に,西南日本では風速が大きく,晩冬に出現が多い. c4型:北西風が吹走し,特に東北日本では風速が大きく,晩冬に出現が多い. c5型:北寄りの風が吹走し,特に東北日本では風速が大きく,冬中出現する.これらの広域気流型により,日本列島における10の気候要素の分布を分類した.判別分析の適用により,いずれの気候要素の場合も,広域気流型ごとに分布が異なることが認められた.また,気候要素の分布には,広域気流型ごとに以下の特色がみられた. a1~a4型:沿岸と内陸の差異が大きい. b1~b3型:南北での差異が大きい. c1~c5型:太平洋側と日本海側の差異が大きい.