地理学評論
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信濃川下流地域(新潟県小千谷市付近)における河成段丘群の形成年代と段丘面の変位速度
早津 賢二新井 房夫
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1982 年 55 巻 2 号 p. 130-138

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抄録

新潟県小千谷市から長岡市にかけての信濃川流域は,水準点の変化・段丘面の変位・地質構造の変形の三者がそろった活褶曲についての最良のフィールドの一つとして知られている.この地域におけるテフラ累層および段丘堆積物の中から, 3層の重要な示標テフラ層,すなわち姶良Tn火山灰層 (AT, 約2.1~2.2万年前)・大山倉吉軽石層 (DKP, 約4.5~4.7万年前)・中子軽石層 (NG,約13~15万年前)が検出された.これら示標テフラ層と段丘面(太田・鈴木, 1979) との関係に基づいて,各段丘面の形成年代が次のように推定された. A面:約13~15万年前, B面:約5~6万年前, C面:約2.1~2.5万年前, D~F面: 2万年前以降,おそらく完新世.また,これら各段丘面の形成年代と,すでに算出されている段丘面の変位量から,変動地形の変位速度が計算された.それによると,小千谷地域全体としての北方への傾動運動,および小千谷向斜の造向斜運動は,ともにA面の形成以降現在まで,ほぼ一定の速度で継続していると考えられる.

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