地理学評論
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小櫃川流域と養老川流域の更新世末期以降の地形発達史
鹿島 薫
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1982 年 55 巻 2 号 p. 113-129

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抄録
本研究では,小櫃川と養老川の上~下流域の地形発達史を編み,それをもとに下流域における沖積平野の形成過程と上~中流域における河谷の侵食過程との相互関係について考察を加えた.
縄文海進頂期までの海水準上昇期において,下流域では沖積層の急速な堆積と堆積域の内陸側への拡大が生じた.また上~中流域では,急激な隆起運動のため,河谷の侵食は継続されたものの,比較的側刻の卓越する生育蛇行状態にあった.縄文海進頂期以降に海水準が若干低下すると,下流域では沖積平野の内陸部から,平野面の下刻が始まった.海水準が低下傾向に転じた影響は,上~中流域の河谷形成作用にも現われ,この時期以降,下刻のみが卓越する掘削蛇行状態となった.
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