地理学評論
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空間的自己相関研究の展望とパターン検定の改良
田中 和子
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1982 年 55 巻 5 号 p. 313-333

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抄録
空間的自己相関の研究史の展望を行ない,「統計的ノイズから空間的パターンの形成者へ」という概念の拡大に伴って,空間的自己相関概念に基づく,諸係数の計測技法の精緻化と適用分野の拡張とが並行して進展してきたことを指摘した.今後のパターン研究の発展のための課題として,とくに現実のパターンに即した空間構造の特定と,その基本的空間因子(方向性と不連続性)のウェイト・マトリックス中への操作的導入の必要性を明らかにした.大阪市の経済特性に関する,都心部集中型と都心周辺部型の空間的パターンを例にとって,それらの示す都心から外縁へという拡散的な方向性と,円およびリング状の「図」の「境界」部分の不連続性とを検定した.その結果,本稿で採用したアプローチは,空間的自己相関検定に際して,分析上の有効性と可能性を持ち,さらに,一般的なパターン研究にも大きく寄与しうるものであることが確かめられた.
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