抄録
各種用地の大規模開発に伴い,地形が人エ的に直接作り変えられることに端を発して,土地・自然の一部または全体が変化することを大規模土地改変と呼ぶ.これを人エ地形学的に研究する枠撫を提示し,当面最も必要とされる,地形改変の実態を把握する手法について検討した.基礎的な統計資料が整備されていない現段階では,少数の代表例についての大縮尺的な資料とともに,各開発目的ごとの中地形別開発面積の年次変化が,大規模地形改変の動向を把握するのに有効な鍵となることがわかった.これを用いて解析した結果,日本各地で1960年頃か直接的地形改変の規模が飛躍に増大したこと,それによる人工的な土の移動を広域的にとらえたときの平均的な速度は,自然状態での削剥速度の数倍~数百倍に達するようになったこと,およびそのような規模・速さの増大が,地形利用傾向の著しい変化(低平地中心から丘陵地,低山地をも含む)とともに進行したこと,などが明らかとなった.