地理学評論
Online ISSN : 2185-1719
Print ISSN : 0016-7444
ISSN-L : 0016-7444
蝦夷富士半月湖湖水の酸素含有量 半月湖の研究(二)
渡邊 宗重
著者情報
ジャーナル フリー

1931 年 7 巻 5 号 p. 363-384

詳細
抄録
一、湖底より四、五米の水は年中酸素を缺く。
二、其原因は湖底は生物の遺骸の腐敗と酸素に乏しき湧水あるによるものと推定す。
三、湖面氷結後、融氷期まで湖水全層に亙り酸素含有量漸減す。
四、五月乃至九月に亙り、○米層より六米層の間に於て、四米層邊を最高として酸素含有量著しく増加し、大抵過飽和の状態となる。是れ表面よりの酸素の供給の外、水深六米までの湖底に繁茂するササモの同化作用による。
五、十月以後十二月の結氷期までは湖水の全層に亙り酸素含有量次第に増加す。
六、結氷期間にはササモの腐敗浮游生物或は魚類等により酸素含有量の影響さるゝことを認むることあり。
七、酸素含有量の躍層は年中之を認むるも時期により其位置、飛躍の價相違す。
八、酸素含有量の變化の上より全層を六米以淺と八米以深との二層に大別することを得。
九、酸素含有量の増減の上より一年を四期に區分することを得。
著者関連情報
© 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top