本稿は,東濃地方と三河山地東部地域に分布する土岐砂礫層と明智礫岩層とが相互に対比されることを明らかにし,当時の古水系とそれらの砂礫層堆積後に生じた地殻変動ならびに地形発達を論じたものである.土岐砂礫層と明智礫岩層は同時期に堆積したものであり,これらの砂礫の供給源が木曽川(付知川)水系であることを論証した。また,従来知られていなかった活断層が三河山地には数多く存在することを明らかにして,その断層地形と断層面を記載した。これらの断層群は東西圧縮応力場で生じた共役の断裂系であり,そのほとんどが土岐面形成後に活動したことを明らかにした.さらに,木曽川・土岐川・矢作川の大規模な流路変遷と水系変化に着目して,断層ブロック運動に先行する大規模な波状変形が起こったことを推論した.