地理学評論 Ser. A
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わが国における空港後背地の類型区分国内航空旅客による
井田 仁康
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1987 年 60 巻 6 号 p. 379-393

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抄録

本研究は,空港を結節点とした航空旅客の発生・吸収の空間的範囲,すなわち空港の後背地に着目したものである。研究対象地域は,沖縄および島嶼部を除く日本全土であり,国内定期航空会社5社の特定の1日全日における航空旅客に対して実施したアンケート調査結果に基づき,37の空港後背地を画定し.これらの後背地は,1市,1単位地区から成る小規模なもの,ほぼ1つの県域から成る中規模なもの,複数の県域を包含する大規模なものに区分される.次に,単位地区ごとに航空旅客の流動特性を表わす15変数に因子分析を施し,これらの因子得点を変数としクラスター分析を行ない,その結果, 1,204の単位地区が5地区群に統合された.そのうち,解釈可能な4地区群によって各後背地内部の地域的特徴を明示した.そして最後に,各後背地ごとに4地区群別の構成比を算出し,それに基づいて後背地を類型化することによって6類型が識別された.すなわち,単一構造である関東指向I型,関西・中京指向1型,地方指向型と,空港を中心に位置させると圏構造を呈する関東指向II型,関西・中京指向II型,全国指向型である.

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