地理学評論 Ser. A
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東北日本北部における後期更新世海成面の対比と編年
宮内 崇裕
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1988 年 61 巻 5 号 p. 404-422

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抄録

東北日本北部の沿岸に発達する後期更新世海成面群について,洞爺火山灰(約9万年前)と阿蘇4火山灰(約7万年前)などの広域テフラ,海成面の形態的特徴,段丘面構成層の特徴に基づく対比と編年を試みた.対比と編年の標式地となったのは太平洋岸の上北平野である.その結果, 12~13万年前の最終問氷期最盛期に形成された海成面(高館面)は広域に対比され,松前半島,西津軽海岸,男鹿半島などにおいてその旧汀線高度は修正された.約10万年前の多賀台面は隆起速度の大きい日本海側において,また約8万年前の根城面は下北半島西部において認定・対比された.各地域で高館面あるいは多賀台面の低位にあって,テフロクロノロジーの方法で対比されなかった発達の良い2つの海成面は,約8万年前の根城面,約6万年前の柴山面に順次対比される可能性が大きい.このような形成年代をもつ海成面群の存在は,後期更新世における少なくとも4つの高海面期の存在を示唆する.

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