本研究の目的は,複数の都心を有する都市の人口密度に関してGriffithが提示したモデル(本稿では多核心モデルと呼ぶ)を改良し,そのような都市における人口密度の分布形態およびその時間的変化を実証的に明らかにすることである.ただし結果の解釈を容易にするため,分析対象を2都心,つまり双子都市に限定した.多核心モデルの改良にあたっては,まず人口密度の形態的特性を示す6っの新指標を導出した.次に,人口密度分布の空間的な歪みを示す「バイアス」概念を導入することによって,新しいモデルの構築を試みた.
本研究は,こうして得られたモデル(本稿では新モデルと呼ぶ)および,孤立モデル,多核心モデルを分割メッシュデータを用いて3つの双子都市地区(沼津・三島地区,静岡・清水地区,前橋・高崎地区)に適用した.その結果,これらの3地区については,新モデルの有効性が他の2モデルのそれをかなり上回ることが示された.また,各パラメータ・指標のモデル問の差異,地区間の差異,そして時間的変化に一定の傾向が認められた.
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