戦後復興期・高度成長期・低成長期を通して,わが国の物的流通は質的・量的に大きく変化した。本研究では,これらの社会経済的背景とあわせて運輸省の路線認可等を資料とし,大手路線トラック企業の中の2社を中心にして,それらや他の定期路線トラック輸送のネットワークの空間的な形成過程を明らかにした.その結果,戦時下の統合企業として大きくなったトラック業者が,(1)復興期には本社所在地から東京・名古屋・大阪へと進出し,(2)高度成長期には東海道から仙台・広島・福岡などへと路線を拡大して全国的路線網を形成する企業も出現し,(3)低成長期には一部の業者が東北や九州などで路線網の拡大を続けている'のは,これらが小荷物輸送を推進していることを反映しているためであること,が明らかとなった.また,多くの路線トラックの運行系統の発着地が東海道メガロポリスの路線網上に集中していることを明らかにした.