地理学評論 Ser. A
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日本における海跡湖の地形的特徴と地形発達
平井 幸弘
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1989 年 62 巻 2 号 p. 145-159

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抄録
本論文では,日本における沖積低地の一つの重要な構成要素である海跡湖の地形的特徴を明らかにし,とくにその湖岸低地と湖棚の地形発達について考察した.
海跡湖の湖岸低地は,標高2-5m,幅100-200mの湖岸段丘Iと,標高1-2m,幅100-500mの湖岸段丘II,標高1m以下の現成の砂浜・湖岸湿地の3段の地形からなる.湖岸浅所には,水深0.5-2.0m,幅200-300mの現成の湖棚Iと水深1.5-3.5mの湖棚IIが発達する.このうち湖岸段丘Iは縄文海進最盛期 (約6,000年前頃)に,湖岸段丘IIは縄文再海進期 (約4,000-3,000年前)あるいは平安時代 (約1,000年前)の海進期に,湖棚IIは縄文海進以降の3回の低位海水準期 (4,500年前頃,約3,000-2,000年前, 16-17世紀頃)のうちいずれか,あるいはその複数の影響を受けて形成された地形である.そして現成の砂浜や湖棚Iの発達は,現成の営力の他に,場の条件として前地形の発達にも規制されていると考えられる.
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