地理学評論 Ser. A
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わが国における都市化の現状と都市システムの構造変化
森川 洋
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1991 年 64 巻 8 号 p. 525-548

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抄録
中心機能従業者の規模と通勤圏の分析の結果得られた356の中心都市とその周辺市町村とを対象として,人口,従業者数および主要3機能の1980~1985年の変化について考察した.その結果, (1) わが国では大都市圏の発展が著しいが,地方の中小都市には衰退するものが多く,わが国の都市化の現状はアメリカ合衆国などでみられた反都市化現象とは異なること, (2) 周辺市町村が中心都市に対して求めるほど,中心都市の成長にとって周辺市町村との関係は重要でないこと, (3) 中小都市では製造業従業者比率や増加率はたしかに高いが,製造業従業者増加率は中小都市の人口増加率とは相関が低く,中小都市の成長を支えているとはいい切れないこと, (4) 中枢管理機能従業者や製造業従業者は周辺市町村に向かってそれぞれ特色ある分散をなすのに対して,中心機能従業者は大都市に集積し,中心機能従業者が大都市の成長の基盤をなすようにみえること, (5) 全国的変化との対比によると,主要3機能はいずれも東京大都市圏周辺部に集積すること,が判明した.
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