地理学評論 Ser. A
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浜松都市圏における機械金属工業の立地動態
小田 宏信
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1992 年 65 巻 11 号 p. 824-846

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抄録
本研究は,浜松都市圏の機械金属工業の立地動態を,生産体制の視点から分析したものである. 1957年から1988年までの32年間を4つの時期に区分して分析を行なった結果,相対的にみて,周辺地域への分散的な立地が顕著な時期と,中心集積地域内への求心的な立地が顕著な時期があることが判明した.さらに業種類型別に検討し,資本集約化が著しく進展する時期,および,単純労働に依存する部門において分業化が進展する時期には,分散的な立地が顕著であり,熟練労働に依存する部門において分業化が進展する時期には,中心集積地域への求心的な立地が顕著であることを指摘した.とりわけ,日本経済の低成長期にあたる1973年から1980年にかけては,後者の傾向が優勢であり,この時期には,自動車メーカーにおける設備投資が停滞する下で,数多くの下請業者が発生し,それらは既存集積地の周囲に滞留することになった.
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© 公益社団法人 日本地理学会
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