地理学評論 Ser. A
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GISを利用した生活環境評価システムの構築とその応用
関根 智子
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1996 年 69 巻 1 号 p. 1-19_2

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抄録

本研究の目的は,地理情報システム (ARC/INFO) を利用して,生活環境評価システムを構築するとともに,そのシステムを応用して生活環境水準の空間的変動を考察することである.本研究で構築された生活環填評価システムは,任意の生活環境評価地点を中心に,道路距離500m圏内の生活関連施設を彩色表示するとともに,それらの施設規模や周囲の人口も考慮して生活環境水準を測定することができる.さらに,多基準評価法を利用して,生活環境水準の総合指数も算出できる.本システムの特徴は,次のようである. (1)生活環境評価システムのプログラムは, ARC/INFOのAML言語で書かれ,メニューをクリックすることによって実行される. (2)位相構造をもった道路ネットワーク上で,道路距離をもとに生活環境評価圏や人口算出圏を定義できる. (3)建物は,ポリゴンとして入力されており,生活環境評価圏内の建物は,その機能に基づき彩色表示される. (4)人口算出圏内の総人口は,平成2 (1990) 年国勢調査の基本単位区人口に基づき算出される.
研究地域は,岩手県盛岡市北部の1km×1kmの地区である.研究地域内の100地点においてシステムを実行した結果,生活環境水準の総合指数は,「非常によい」から「非常に悪い」まで大きく変動した.研究地域内の生活環境水準の分布パターンをみると,西部で高く,東に移るにつれて低くなっていることが判明した.このような分布パターンが形成される条件を,施設の立地状況,道路ネットワーク,人口分布の3つの要因から考察した.

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