抄録
本稿は,空間単位に基づいて集計された空間データの代表点について,その最適な位置を分析したものである.最も代表的な空間集計地区の変換手法である代表点法を取り上げ,変換時に生ずる誤差が最小となるような代表点の位置について考察を行った.まずはじめに,分析の前提となる条件を整理し,現実性の高い仮定のもとで,推定値の平均二乗誤差を導出した.そして,点分布と連続分布の2種類の分布について,推定誤差が最小となる代表点の位置を求めた.その結果,いずれの場合についても最適な代表点の位置は分布の幾何中央点であることが明らかになった.さらに数値計算から,分布に偏りがある場合には明らかに幾何中央点が最適であり,分布が比較的均一な場合には,分布重心も比較的推定誤差を小さくする位置であることがわかった.計算費用の問題を考え合わせると,実際上はこれら二つの位置を適宜使い分けることが望ましいといえる.