地理学評論 Ser. A
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金沢市における都市住民による用水路利用と維持への参加
山下 亜紀郎
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2001 年 74 巻 11 号 p. 621-642

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抄録

本研究では,金沢市における都市住民による用水路利用,ならびに用水路の維持に対する意識と実践にっいて,住民や地域組織などへのアンケート調査および聞取り調査に基づいて解明した.1970年頃まで,用水路は都市住民の生活にとって多様な機能を有していたが,現在では,景観要素としての「見て楽しむ」機能と火災や積雪に対する「防災」機能に特化している.用水路利用者の住民属性に関しては両校下で相違がみられ,長町校下では,用水路は幅広い住民層によって利用されているが,小立野校下では高年齢層や居住年数の長い人に限られる.居住地に関しては両校下とも,利用者が用水路からの距離に比例して減少している.用水路の維持に関しては,地域組織による活動が重要な役割を果たしている・現在の都市生活者にとって,個人単位で用水路を生活に利用し,維持するには限界があり,地域組織で用水路の新しい活用法を見出し,維持・管理していくことが重要である.

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