人工的に改変された山地・丘陵地の地形の自然さを定量的に評価するために,大都市(東京,大阪,名古屋)近郊の宅地およびゴルフ場として改変された山地・丘陵地を対象として地形計測を行った.まず,地形改変前および後に作成された2万5千分の1地形図を用いて,起伏
E(比高と面積の平方根との比),相対起伏
R (垂直方向の凹凸の程度を表す指標),輪郭の等高線のフラクタル次元
D (水平方向の凹凸の程度を表す指標)を計測した.地形改変前の,三つの地形量の間には有意な相関があり (
r=0.79,
n=69,
p<0.0001), Log
E=-0.31
D-0.58Log
R-0.56で回帰平面が表された.この回帰式および実際の
Rおよび
Dの値から, Log
Eの計算値を求め,これと実際のLog
Eとの差を地形自然度と定義した.改変前の山地の地形自然度はゼロに近い値をとり,平均値はゼロ,標準偏差が0.15になった.一方,改変後の山地では,マイナスの値が多くなり,宅地およびゴルフ場では,平均値がそれぞれ-0.20および-0.05になった.このような結果は,地形自然度という尺度が人工的に改変された地形を有効に評価し得ることを示す.
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