近年の急速な経済開発下におけるインドの2農村を事例に,耐久消費財の普及という新たな経済的変動がそれまでの伝統的な村落社会の階層構造にどのよラな影響をもたらしたのかを論じた.具体的には,耐久消費財所有に基づく経済的階層と農地所有やカーストに基づく階層の比較を行った.その際,とくに各階層の上位と下位の動向に着目し,結果として,カースト制度に基づく社会の階層構造が崩壊したとはいえないものの,個々の世帯単位では両村ともにまとまった変化の傾向が認められた.これに関わっては,一部の上層農塞を除き,農外就業の多寡が新たな経済階層上の地位に大きく影響した.わけても高い学歴を経て得られる局収入で安定した農外就業の果たす役割が大きい.