地理学評論 Ser. A
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74 巻, 6 号
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  • 田口 淳
    2001 年 74 巻 6 号 p. 305-324
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    日本の都市問題の中でもとくに深刻な職住分離による通勤の高負担をもたらす一因に,大規模な住宅開発と通勤交通網の整備とのアンバランスがあげられる.本稿では,鉄道が段階的に整備されてきた千葉ニュータウンを対象として住宅供給と交通網整備の関係を分析した.北総開発鉄道の都心直通前後の入居者を比較すると,前住地の分布は近隣市町村のみならず外延的に拡大したことから,交通体系の変化や都心との時間距離の短縮が世帯の居住地選択の範囲を変化させることが明らかになった.また就業地の分布にも変化がみられ,北総線の直通する沿線に就業地分布が拡大したほか,都心3区就業者の千葉ニュータウンへの入居が加速した.さらに,鉄道を利用した通勤流動は鉄道網の整備状況を反映し,所要時間が最短になるような通勤ルートが選択され,対都心の絶対的な交通路を持ったことで通勤ルートの一本化が進んだ.
  • 荒木 一視
    2001 年 74 巻 6 号 p. 325-348
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    近年の急速な経済開発下におけるインドの2農村を事例に,耐久消費財の普及という新たな経済的変動がそれまでの伝統的な村落社会の階層構造にどのよラな影響をもたらしたのかを論じた.具体的には,耐久消費財所有に基づく経済的階層と農地所有やカーストに基づく階層の比較を行った.その際,とくに各階層の上位と下位の動向に着目し,結果として,カースト制度に基づく社会の階層構造が崩壊したとはいえないものの,個々の世帯単位では両村ともにまとまった変化の傾向が認められた.これに関わっては,一部の上層農塞を除き,農外就業の多寡が新たな経済階層上の地位に大きく影響した.わけても高い学歴を経て得られる局収入で安定した農外就業の果たす役割が大きい.
  • 東京都23区の富士塚の歴史的変容を通じて
    川合 泰代
    2001 年 74 巻 6 号 p. 349-366
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿は,江戸・東京の富士講からみた富士山の風景を,富士講の信仰習俗を考慮しっっ,富士講が築造した富士塚の形態の解釈を通じて復元した.江戸末期の富士塚の形態から,「富士講員は,富士登拝の体験を,強く希望した」と風景を解釈した.この誘因として,富士講では,富士登拝が成年男子のみ可能であり,登拝が金銭的にも体力的にも困難であり,富士山は阿弥陀の住む西方極楽浄土と意味づけられ,山頂での御来迎によって阿弥陀の来迎が体験でき,登るほどに超人的な力を得ると信じられたことをあげた.さらに明治期から昭和前期の富士塚の形態からは,「富士講員は,富士登拝を希望したが,登拝体験の価値を明確には理解できなかった」と風景を解釈した.この誘因として,富士講では,老若男女の富士登拝が可能になり,登拝が金銭的にも体力的にも容易になり,富士山は木花咲耶姫などの聖地と意味づけられたが,それらを体験できる装置は創出されず,しかし登るほどに超人的な力を得ることは信じられたことをあげた.そして戦後の富士塚の形態からは,「富士講員は,富士登拝を希望したが,富士講の感覚を共有する人がほとんどいなくなった」と風景を解釈した.この誘因として,戦後に生まれた人が,富士講を継承しなかったことをあげた.
  • 2001 年 74 巻 6 号 p. 367-368,iv_1
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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