抄録
ブラジル北東部は伝統的に海岸部のサトウキビ地帯,内陸部のセルトン(半乾燥地域の粗放的牧畜地帯)および両者の漸移地帯のアグレステに区分されてきた.しかし,その区分の指標は必ずしも明確ではない.
本稿ではパライバ州の海岸部カーボブランコから内陸部のパトスまで,ほぼ東西に10km(海岸部は5km)ごとに1km2の調査地点35カ所を選定し,土地利用調査を実施した。つまり,1km2内の栽培作物,果樹,牧場の形態等を記載する集約的調査と地形,牧柵,残象作物等の景観観察を併用することによって,東西270kmにわたる土地利用の地帯的変化を明らかにすることを目的とした.
その結果,海岸部はジョアンペソアの都市化地区,タブレイロスのサトウキビ栽培地区,パッチ状タブレイロスの根茎作物栽培地区の3地区に区分された.また,アグレステは地形性凹地・トウモロコシ・フェジョン・綿花栽培・パークランド型牧場地区,地形性多雨・トウモロコシ・フェジョン・サバナ型牧場地区,密生有刺潅木林牧場地区に区分された。さらに,粗放的牧畜によって特色づけられるセルトンは,疎生有刺潅木林のボルボレマ高地区とパトス盆地地区に区分された.したがって,全体的にみるとパライバ州の農業的土地利用は,景観的にも8つの農業地区から成立していることが明らかになった.
以上の結果は家畜飼養と栽培作物のムニシピオ別統計分析および道路脇の小商品農産物の直売店の観察からも裏付けられた.