本稿は,イギリス,フランス,旧西ドイツ,オランダ,イタリアそしてオーストリアにおける日本人旅行者の目的地,滞在期間などを分析し,ヨーロッパにおける日本人観光客流動の空間的拡がりを知ろうとするものである。
この地域への日本人の旅行は,日本人のすべての海外旅行状況のなかで考えられるべきであり,また日本人観光客の主要な訪問地の割合からは,ヨーロッパにおけるかれらの選好国が知られる。それぞれの国々における国内での目的地の選好については,ロレンツ曲線を使い,日本人観光客とすべての国際観光客について,宿泊日数と地域的分布パターンの関係から分析した。その結果,日本人観光客は,その国の大都市圏にとくに集中する傾向があり,また都市域への集中の度合いは,すべての国際観光客のなかでとくに高いことが,明らかになった。