地理学評論
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介護保険制度による事業者間競合とサービス事業の展開
石川県穴水町の訪問介護を事例として
杉浦 真一郎
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2003 年 76 巻 7 号 p. 497-521

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抄録

本稿は,営利系事業所の進出が少ない農山村地域における介護保険制度下の訪問介護サービスに注目し,保険者たる行政と既存事業者としての社会福祉協議会の役割が目立つ中で,組織的特性の異なる複数のサービス事業所が併存する石川県穴水町の事例から,サービス供給実績の変化とその制度的背景を分析した.町内3事業所のうち,後発の農協系事業所が制度施行2年目からサービス供給実績を伸ばしたが,これは町役場との関係が密接な社会福祉協議会系事業所や,特別養護老人ホームなどを併設する社会福祉法人系事業所とは対照的に,連携する組織やサービス機能をほかに持たないことに起因している.訪問介護の利益率が一般に低水準である中で,この農協系事業所の事業構造は利用者特性の面からみても不安定であり,本事例からは介護保険事業者の特性について,従来の「既存/新規」および「営利/非営利」に加えて,「総合型/単独型」との観点が有効であることが示唆された.

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