近年,盛夏期に多発している著しい高温について,アメダス資料を利用してその空間分布と経年変化(1979~2002年)を調べた.昼間の高温(最高気温〓35°Cあるいは〓38°C)は三大都市圏の内陸域で多発し,夜間の高温(最低気温〓25°Cあるいは〓28°C)は関東以西の沿岸域と大都市の中心部で多発している.経年的にみると,関東~九州では夏季のピーク時の気温が1°C/(20年)のオーダーで上昇しているが,850hPaの気温上昇率は地上の半分以下であり,地上の経年昇温の過半は境界層内の変化である.この高温化は都市域だけでなく東~西日本の広範囲に及んでいるが,三大都市圏の内陸域では周辺地域に比べて最高気温の上昇率が0.2~0.4°C/(20年)大きい.これらのことから,近年の大都市圏の高温多発傾向は,徐々に進展してきた都市ヒートアイランドにバックグラウンドの急激な高温化が加わった結果であると考えられる.