本研究は,シルバーピア(高齢者向け集合住宅)に入居している単身高齢者が,個別のエイジングプロセスにおいて居住を継続していく際にどのような問題が生じているのか,居住支援として何が必要とされるのかを,居住する地域を含めて考察することを目的とする.調査対象としたのは文京区シルバーぴア3カ所の入居者である.調査から次のことが明らかとなった.(1)都市的アメニティが集積する文京区の地域特性はシルバーピア入居者の居住継続を支援する要因ではあるが,エイジングによる身体機能等の低下によって,これを十分に利用できていないケースがみられる.(2)シルバーピアが地形を考慮した立地ではないため,入居者の行動領域を狭めるケースもみられる,(3)シルバーピアでは,入居者同士の関係が希薄であると同時に地域との関係が疎遠であり,サポート資源としての隣人が得られていない.(4)日常的にサポートが必要になった入居者の場合,介護保険制度を利用して生活を維持しようとするが,サービス内容の面で必ずしもニーズに応えるものとなってはいない.