地理学評論
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モンゴル国における気象災害の早期警戒システムの構築に向けて
篠田 雅人森永 由紀
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2005 年 78 巻 13 号 p. 928-950

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抄録

干ばつは過去数十年間に世界で起きた自然災害の中で最も被災者が多い.1970年代後半以降,エルニーニョ/南方振動の温暖位相への移行と同調して,強い干ばつが世界で広域的に発生する傾向にある.モンゴル国では乾燥かつ寒冷という厳しい気候ゆえに,基幹産業である遊牧が干ばつとゾド(家畜の大量死につながる寒候季の寒雪害)に繰り返し脅かされてきた.本研究では,世界にある干ばつの早期警戒システムとモンゴル国における気象災害業務・研究を概観し,この地域の自然・社会経済条件に適合した気象災害の早期警戒システムを提案する.忍び寄る災害である干ばつ・ゾドは,深刻化する前に先行時間があるため,定量的予測の不確実な天候の長期予報の助けを借りないでも,気候メモリとしての陸面状態(土壌水分,植生,積雪,家畜の状況など)を的確にモニタリングしていけば,災害予測と影響緩和が可能である.

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