地理学評論
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東京大都市圏におけるソフトウェア産業の立地
ネスティッドロジットモデルによる分析
矢部 直人
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2005 年 78 巻 8 号 p. 514-533

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抄録

1990年代のIT革命の後,事業所サービス業の立地が分散する可能性が生まれた.しかしながら,現在まではさまざまな空間スケールでの集積が報告されている.本研究は東京大都市圏において複数の空間スケールにわたる分析を行い,各空間スケールにおけるソフトウェア産業の立地要因を明らかにすることを目的とする.大都市圏内のソフトウェア産業は,広域的なスケールでは23区および業務核都市に,局地的なスケールでは駅の周辺に集積している.ネスティッドロジットモデルによる分析の結果,企業はこの二段階の空間スケールごとに立地意思決定を行っていることが判明した.広域的な地域選択では,顧客への近接性,オフィス賃料を評価し,局地的な地点選択では,上流工程を担当している企業が駅への近接性を主に評価することが明らかになった.また,1990年代には地価が下落したため,下層の企業も交通ネットワークの充実した23区へ立地するようになった.

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