地理学評論
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地理的分断条件を伴う市町村合併が及ぼす高齢者福祉サービスへの影響
群馬県沼田市を事例に
畠山 輝雄
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2007 年 80 巻 13 号 p. 857-871

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抄録

平成の大合併では, 財政的な議論が中心となり, 住民サービスへの対応が後回しとなったため, 峠などのサニビスの地理的分断条件を伴う合併が全体の約4分の1を占めた. そこで, 地理的分断条件が高齢者福祉サービスへ与える影響について, 群馬県沼田市を事例に明らかにした. 沼田市では, 白沢地区と利根地区の間にある椎坂峠が通所サービスの分断条件となっていた. 合併後のサービス体制の不備の結果, サービス空間の再編成が行われたにもかかわらず, 峠越えによる時間的, 精神的負担および住民意識における旧市町村の枠組の残存が要因となり, 合併当初は地区間のサニビスの相互利用は進まなかった. 地理的分断条件を含む市町村においては, 合併後の高齢者福祉サービスに関する計画について, 市町村域を一体的に考えるのではなく, 地理的条件を考慮した上で, 旧市町村域もしくはさらに詳細な地域ごとに計画を作成する必要があ名.

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