日本地熱学会誌
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論文
インドネシア・ウンガラン火山の重力異常:解析と解釈
アグス セツヤワン江原 幸雄藤光 康宏西島 潤ハキム サイビアッサム アバウド
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2009 年 31 巻 2 号 p. 107-116

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抄録
ウンガラン山はインドネシア・中央ジャワ地区にある第四紀火山であり,新期火山体と古期火山体から構成されている。新期火山体は今からおよそ30 万年前までに形成され,古期火山体は今からおよそ50 万年以上前に形成されたと言われている。新期火山体は,古期火山活動によって形成されたカルデラ内に形成されたと考えられている。本研究におけるブーゲー重力異常解析の目的は,新期火山体および古期火山体の位置を明確にするとともに,断層構造と地熱徴候との関係を議論することにある。高重力異常がウンガラン火山を全体的に覆っているが,より詳細に見ると,高重力異常群は古期火山体に関係する山頂部の北方に位置している。種々の重力解析手法,すなわち,水平一次微分解析,スペクトル解析,2次元フォワード解析等が適用された。実測された新期火山体の火山岩の密度は,2,390±120kg/m³ であり,主として安山岩質溶岩から構成されている。一方,実測された古期火山体の火山岩の密度は,2,640±100kg/m³ であり,主として,玄武岩質溶岩から構成されている。ウンガラン火山の構造の特徴は,東西方向および北西-南東方向の2つ方向の主要な断層の存在であり,ウンガラン火山の地熱徴候は、環状構造に規制されており,かつ,それらが新期火山体に存在している。
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© 2009 日本地熱学会
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