現在、市場に出回っている中国産の淡水養殖真珠は、その色調、テリ(光沢)の多様性に特徴があるが、それを逆手に取った様々な処理も存在する。なかでも染料による着色処理が施された真珠は真珠表面を拡大し、それを観察する人の経験に頼った官能検査で看破しているのが現状である。しかし近年、真珠にバフ研磨等が行われるようになりそれらの痕跡がはっきりと確認できない場合や、また明らかに外観や色調に違和感を持ちつつも着色の痕跡すら発見できないこともある。そこで官能検査を補う為の一つの方法として真珠の分光反射率に改めて注目した。今回はこれらの中でバイオレット系淡水養殖真珠に的をしぼり、ヒレイケチョウ貝等の貝殻および未着色、染料による着色処理の各資料の分光反射率を体系的に比較し判別の線引きを模索する。