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合成ダイヤモンドの製造技術は近年急速に進歩している。一般的にダイヤモンドの合成法には HPHT(高温高圧)法と CVD(化学気相)法の二つがある。 HPHT 合成法で製造されたものは 10ct 以上のものや、 CVD 合成法でも 5ct のものが報告されている。特にHPHT 合成法の生産量には目を見張るものがある。それとともに宝飾業界においてのメレサイズの無色〜ほぼ無色のダイヤモンドを天然石と合成石を選別する重要性が非常に高まっている。
検査機関は持ち込まれる石をまずはじめに天然石の大半を占めるタイプⅠ からタイプⅡ を分け、分けたタイプⅡ から天然石か合成石かを分析機器を用いて選別していくことになる。
このような中、ダイヤモンドのペンダントが検査に持ち込まれた。石留めされた 7 石のうち 2 石が赤外分光でタイプⅡ に分類され、紫外可視分光で 737nm が認められた。合成ダイヤモンドの疑いがあったため、石を外しルースの状態にて検証した。
0.135ct と 0.140ct のラウンドブリリアント石はそれぞれ Very Light Pink の VS1,VVS2(※)のグレードであった。 2 石を顕微鏡検査したところ、ピンポイントと growth planes が認められた。赤外分光の測定ではタイプⅡ a と分類され、 2 石とも紫外可視分光で明瞭な737nm(SiV-)の吸収が見られた。
PL 測定では 575nm、 637nm の NV センターと 737nm(736.3nm/736.8nm)の SiV-の検出が認められた。これらの赤外分光、紫外可視分光、 PL 分光、紫外線蛍光像の結果から CVD 法合成ダイヤモンドであると結論づけた。また、紫外線照射後にブルーへのカラーチェンジが見られた。色は数分で元に戻った。これは製造過程でシリコンを大量にドープされたことによる SiV-と SiVo の電荷移動によって引き起こされ、青色は強いSiVo センターの吸収によるものとの報告がある。 (D'Haenens-Johansson et al .,2015)今回検査した 2 石でも近赤外分光で SiVo センター946nm が確認された。
これらの件を詳しく調べるとともに、無色〜ほぼ無色の CVD 法合成ダイヤモンドの他の試料と比較し検討する。
※ AGL 規定では合成ダイヤモンドのグレーディングは行わない