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かつて中国産淡水養殖真珠は無核による真珠養殖が一般的であった。
しかし 20 年程前から核を使用した淡水養殖真も市場に見られるようになった。その後、核の形状(球状や様々な形に研磨した物)や、核のサイズにも多用化が見られるようになった。核の素材として淡水産二枚貝に留まらず貝殻とは異質な樹脂、パラフィン、粘土を固め様な物も核として使用されてきた。近年になりラウンド系の5㎜以下の淡水養殖真珠に球状の核を使用したものも登場している。これは真珠の真円度を増すために行われたと推測する。淡水養殖真珠は形状の真円度が増したことによりアコヤ養殖真珠と外観での判別を困難にしている。本研究では 20 年以上程前から筆者が収集した様々な淡水養殖真珠の入手年代を再調査し、中国産の淡水養殖真珠に見られる養殖用核の変遷として報告する。また最近登場しているラウンド系の5㎜以下の中国産有核淡水養殖真珠について✕線透視装置を用いてその透過像から核のサイズを計測した。また必要に応じて珠を切断し、核を直接観察したので報告する。特に5㎜以下のラウンド系の淡水養殖真珠ではサイズのより異なるがアコヤ養殖真珠の厘珠サイズに使われている核より小粒な核が使用されている場合がある。