宝石学会誌
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平成28年度宝石学会(日本)講演会論文要旨
石川県小松市赤瀬から産出するブルーオパール
中嶋 彩乃古屋 正貴
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2018 年 33 巻 1-4 号 p. 34-

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抄録

日本のオパールの産地には、北海道鹿追 町然別湖、福島県西会津町宝坂、石川県珠 洲市、富山県立山市新湯温泉、鹿児島県牧 園町などが知られているが、総じて白色~黄 色のオパールであるのに対して、石川県小松市の赤瀬から産出オパールには、青色のものが多くみられるのが特徴である。

この産地は小規模ではあるが、50 年程前まで商業採掘が行われていた。今回、著者が 2015 年 10 月に採集に行き、採取したサンプルを元に分析を行なった。

オパールは流紋岩の割れ目に産出し、崖 崩れなどで露出した面や、そこから流出した 土砂の中から発見された。またオパールを含む母岩の外側に球顆が見られることも多く、指示鉱物ともされるほどだが、その理由は明らかではない。

採取したオパールは報告されていたように青いものもあったが、乳白色~黄色のものが 主であった。石川縣地質鑛産誌(1953)やインターネットの採集家の記載では遊色効果を示すものもあるということだが、採取したものには 見られなかった。

このオパールの青色は遷移元素などによる 吸収によるものではない。同じ白色の LED 光 を透過させると黄色に見えるが、上から当てると青色に見える。(図1、2)また、図1のように 吸収スペクトルを計測すると黄色の分光スペクトルが得られるが、図2のように反射のスペクトルを計測すると青色の分光スペクトルが得られた。これはムーンストーンと同じようにレイリー散乱の効果によるものと考えられる。

同様のオパールはアメリカ・オレゴン州やブラジルからも産出している。また、ブルーオパールとしてより広く流通しているペルー産のものは、銅を含むことによって特定波長の吸収が起こることによるものであり、また色もより緑 がかったもので、色の原因が異なる。

今回採取した中には一部に宝石用にカットできたものもあり、日本から産出する宝石の一つとして広まることを願っている。

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