宝石学会誌
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平成28年度宝石学会(日本)講演会論文要旨
漂白によるクロチョウガイの色素変化について
山本 亮小松 博
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 33 巻 1-4 号 p. 35-

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抄録

クロチョウガイには主に赤系と緑系の色 素が存在し、これらが複雑に関係すること により様々な色調を持つ真珠が産出される と考えられている(※1)。

この黒蝶真珠が持つ色素は変色や褪色し にくいと言われており、これまでその色調 を改変するような加工はあまり行われていなかった。

しかし近年、ショコラやピスタチオなど と呼ばれる色調を改変した黒蝶真珠が流通 するようになった(※2)。これらの色調は 主に真珠の表層に染料を浸漬して作られているようであるが、中には漂白により作られるものがあると言われている。

また最近の事例になるが、漂白により黄 緑がかった色調に改変した言われる黒蝶真 珠が持ち込まれた。この真珠を分析したが、 漂白により色調を改変したことを示す特徴 を確認することはできなかった。

今回、アコヤ真珠で一般に行われている 方法でクロチョウガイ貝殻と真珠の漂白を 行い、その色調及び特徴の変化について調べたので報告する。

※1 「クロチョウガイ貝殻に見られる分 泌色素の変遷についての考察」 吹田ら 2007 年宝石学会

※2「真珠及び貝殻を加熱することによる 色調の変化についての考察」 渥美ら 2009 年宝石学会

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