2018 年 33 巻 1-4 号 p. 43
<はじめに>
TypeⅡ a 天然ピンクダイアモンドのフォトルミネッセンス スペクトルにおける H3 半値幅を無色ダイアモンドと比較した。
H3 は、二つの窒素と一つの空隙からなる天然ダイアモンド中に存在する欠陥であり、またTypeⅡ a HPHT 処理ピンクおよび無色ダイアモンドにおいても検出される可能性の高いフォトルミネッセンス ピークの一つである。
<結果>
図1に、 TYPEⅡ a の天然ピンクダイアモンドと無色ダイアモンド各50石のフォトルミネッセンス分析で得られた H3 FWHM(nm) を示す(下 : 無色、上 : ピンク)。
これらは、 488nm レーザーを用いて、液体窒素温度で測定された結果である。
ピンクダイアモンドの H3 FWHM は、0.35から0.96nm であった。無色ダイアモンドの0.25から0.63nm と比較すると、ピンクダイアモンドの H3 FWHM は広い領域で得られた。
そこで、 FWHM が0.70以上のピンクダイアモンド3石の 515nm レーザーでフォトルミネッセンス スペクトルを測定したところ、 535.8nmに顕著なピークが認められた。
515nmで得られるその他のピークも加えて、TypeⅡ a 天然ピンクダイアモンドのフォトルミネッセンス スペクトル特徴を調査していく予定。