抄録
食品添加物や医薬品添加物としてPolysorbate 80(PS80)が添加されている。このような添加物を含む食品が存在する口腔内を模擬するために0.01-0.5% PS80を添加した唾液を用いてtissue conditionerとレジン系仮封材硬化体でジブチルフタル酸(DBP)の溶出量を検討した。検出されたフタル酸エステルはDBPとモノブチルフタル酸が検出され、PS80含有唾液ではフタル酸エステル溶出が顕著に増加した。加えて、低濃度のPS80では唾液中のエステラーゼ様活性は影響を受けなかったが、高濃度では抑制された。PS80含有唾液を用いた溶出は口腔内を模擬した実態に即した試験法であると考えられる。