肺癌
Online ISSN : 1348-9992
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原著
画像発見肺癌の手術成績
―検診の意義とその限界―
松岡 隆久上田 和弘須藤 学拓田中 俊樹坂野 尚金田 好和野島 真治濱野 公一
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ジャーナル オープンアクセス

2005 年 45 巻 3 号 p. 229-234

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抄録

目的・方法. 原発性肺癌362例を発見動機別に, 集団検診・他疾患の経過観察中に胸部X線写真で発見された225例 (画像発見群) と呼吸器・全身症状を発現した137例 (症候発現群) の2群に分け, 画像発見症例の臨床病理学的特徴及び画像発見の外科的手術に及ぼす影響を知ることを目的に比較検討した. 結果. 画像発見群では症候発現群に比べて腫瘍径が小さく, 喫煙指数も少なく, T1症例・N0症例・扁平上皮癌以外の症例・完全切除症例・葉切除以下の症例が多かった. 全症例の予後を多変量解析すると性別, 喫煙指数, T因子, N因子, 根治度のみならず発見動機も有意な予後規定因子であった. 喫煙指数別, T因子別, N因子別, 術式別, 組織型別の層別解析では喫煙指数800以上の症例・T1症例・N0症例・葉切以下の症例・扁平上皮癌以外の症例においてのみ発見動機は有意な予後規定因子であった. 結論. 1)画像発見群の方が早期の症例が多かった. 2)画像発見は早期の症例においてのみ予後規定因子であった. 3)画像発見は拡大切除を要する症例や扁平上皮癌症例においては予後規定因子とはならなかった.

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© 2005 日本肺癌学会
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